ライフストーリーVol.7〜「世界に1つだけの仕事」に導く人〜

お花が大好きな男性とのセッション

母が亡くなってから、半年が経った頃のこと。

ありがたいことに、僕はコーチングに没頭する毎日を相変わらず送っていた。



そんな僕のもとに、今でも忘れられないお客さんが、コーチングを受けたいとやってきた。

それは繊細だけど、とても愛が溢れる30代の男性だった。

少しオネエ言葉が入り混じる、その言葉遣いを聴いただけで、唯一無二な存在であることがわかった。



当時、僕のところにやってくる人は、やりたいことや好きなことがわからず、悩んでいる人がほとんど。

でも彼は周りとは違って、自分の大好きなことがはっきりとわかっていた。



彼の大好きなこと。それはお花だった。



セッションが始まり、僕はこう問いかけた。


「自分のお葬式を想像してみてください。

 そこに来てくれた人たちが自分のことを、どんな人だったと言ってもらえたら最高?」


その問いに対して、彼は号泣しながらこう答えた。


「お花を愛することで、周りを癒して、元気を与えられる人」


それは紛れもなく彼の人生の目的で、その言葉を聴いたとき、僕は高揚感と心が洗われるような感覚になった。

そして、そこから、大好きなお花を使った彼にしかできない仕事が見えてきて、セッションは大盛り上がりで終わりを迎えた。

「世界に1つだけの仕事」が生まれた瞬間

セッションを終えてしばらく経って、振り返りをしているときも、僕はずっとボーっとしていた。

彼が持っている可能性を見抜き、彼ならではの人生の目的と、彼にしかできない仕事が明確になった。

それをお手伝いできたことに、静かなワクワクというか、興奮がおさまらなかった。



そして、妄想をしているうちに、自然と問いが、頭の中から湧き上がってきた。



もし彼にしかできない仕事が、本当に実現できたらどうだろうか?

彼の人生は、どれだけ変わるのだろうか?

それを見た自分は、何を思うのだろうか?



そんな問いかけに答えるような形で、想像を重ねていたら、幸福感に襲われてウットリしてしまった。

そして、なぜか、あるCDのジャケットが思い浮かんだ。

それは、SMAPの名曲、「世界に一つだけの花」のCDジャケットだった。

きっと彼のお花への愛を、ずっと聴いていたからかもしれないけど、きれいなお花が一面に広がる光景が見えた。

それも、ただ1種類の同じ花が、広がっているようなお花畑ではない。

1本ずつ色も形も違うお花が、堂々と咲き誇っているような光景だった。



その光景のように、

1人ひとりが、自分にしかできない仕事をすることで、自分の可能性を最大限に発揮できる社会。

そして、自分という存在を、仕事を通して目一杯表現している社会。



そんな社会が現実になったら、心から最高だと思えたし、それを現実にするために、自分は仕事をしているのだと思えた。


こうして、僕は見えたその世界観を、「世界に1つだけの仕事」と名付けた。

僕の人生の目的

僕の人生の目的。

それは「人の隠れた潜在能力を引き出し、人の可能性を信じる存在」であること」

そして、それを体現していくために「”世界に1つだけの仕事”へと導く人」であること。



これが言語化できたとき、これまでの人生で起きた印象的な出来事や経験が、すべてつながったように思えた。



会社員時代、やりたいことがわからなくて辛かったのは、誰でもできる仕事を自分にさせていたから。

コーチングのワークショップに参加して、やりたいことがわかったときに感動したのは、自分ならではの仕事がわかったから。



協力隊時代に、ラプシーキャンディがうまくいったのは、村の人達やラプシーの可能性に気づけたから。

協力隊でどん底だったときに、村のおばちゃんたちに感動したのは、「存在するだけで価値がある」という、人の本当の意味での可能性がわかったから。



独立後、コーチングを仕事にしたのは、コーチングが人の可能性を引き出す仕事だから。

僕が父と母のもとに生まれたのは、「教育」という人の可能性を信じる仕事をしていた2人から、その才能を受け継ぐためだから。



嬉しくて忘れられないことも、

楽しくて時間を止めたくなったことも、

苦しくて逃げだしたくなったことも、

悲しくて涙が止まらなかったことも、

すべて、この人生の目的を見出すためだった。



これまで何度か、人生の目的を言語化したことはあった。

それでも、今回が一番腑に落ちる感覚があった。



この先、もしかしたら、細かい表現は変わるかもしれない。

でも方向性としては、たぶん変わらない。



これからも1人でも多くの人が、自分の人生の目的に気づき、

自分にしかできない「世界に1つだけの仕事」をするために、自分ができることをしていきたい。

〜THE END〜

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